3年前に1か月間の特訓で浴衣を縫い上げて、オランダへ単身留学された大(まさる)さんが今秋帰国され、また訪ねてきてくれました。当時19歳の少年でしたが、このコロナ禍の困難の中で無事にライデン大学を卒業。人懐っこい笑顔はそのままに、精悍な顔立ちとなり凛々しい青年に成長していました。
今後も、日蘭の文化交流の懸け橋になりたいという念願の夢と将来への希望で、引き続き大学院に進学。近々オランダの友人の結婚式に出席するとのことでしたので、手持ちのお召しの着物と一つ紋の羽織を差し上げました。茶系の着物でしたが、好きな色だと気に入っていただいたようで、後日現地での着用写真を送って下さるそうです。
その後、11月に渡欧された彼のお母様からお手紙をいただきました。ウィーンのクリスマスマーケットや古い街並みを、芸術や建築など大学で学んだ美術史の知識をもつ大さんの説明付きで楽しまれたとのことです。
また、差し上げたお召しと羽織は、初代の着物を洗張りして仕立て直したものでしたが、来年2月のライデン大学の卒業式に着用して臨まれるそうです。
日本の伝統文化の象徴でもある着物を、若い方が異国での晴れの席で着用してくださることは、和裁に携わる者として嬉しく思い、感謝しています。